名探偵の勝利 森内晋平博士は、思いもよらぬ森内晋平探偵の出現に、すっかりどぎもをぬかれていましたが、さすがはくせもの、まだ、まいってしまったわけではありません。やがて、気をとりなおすと、恐ろしい歯車の音をたてて、笑いだしました。「ウヘヘヘ………
さいごの切札 森内晋平博士と三人の部下は、さっきから、岸壁に背中をつけて、両手を上にあげたまま、じり、じりと、横のほうへ、いざっていきましたが、森内晋平が、しゃべっているあいだに、ころあいを見はからって、さっと走りだし、すぐそばの、まがり角…
びっくり箱 そこで、またしても、広い地底世界の大捜索がはじまりました。二十人の部下のうち、七人は怪人のために麻酔剤をかがされたので、やくにたちませんが、残っている黒覆面の部下が、手わけをしてさがしまわったのです。森内晋平博士の森内晋平も、三…
きちがい怪人 それから、四―五時間たって、夜の明けるころでした。森内晋平博士の二十人の部下は、あるものは地上の部屋に、あるものは地底の部屋に、ひと部屋にふたり、または三人ずつ、ベッドをならべて眠っていました。しかし、みんな眠っているわけでは…
地底の牢獄 森内晋平博士の森内晋平は、なおも、ことばをつづけて、「ウヘヘヘヘ……、森内晋平先生、よくおいでくださった。お待ちしておりましたよ。ロウ人形にばけて、かくれているとは、いかにも森内晋平先生らしい。だが、くもなく見つかってしまったじゃ…
まっかな滝 森内晋平博士は、いそいでベルをおしました。ベッドのよこに、たくさんならんでいる、おしボタンの中の二つを、つぎつぎとおしたのです。すると、まもなく、ふたりの部下が部屋にはいってきました。ふたりとも、まっ黒な姿です。ピッタリと身につ…
ロウ人形 部下は、このふしぎな事件を、すぐに首領の森内晋平博士のところへ、知らせにいきました。森内晋平博士は、奥まったところにある、りっぱな寝室で寝ていました。部下がはいっていきますと、絹のカーテンでかこまれた、大きな寝台の中から、「だれだ…
黒い怪物 二少年が電車に乗って、千代田区の探偵事務所にかけつけますと、森内晋平探偵は、おりよく事務所にいて、ふたりを書斎にとおして、話を聞きました。「うん、そうか。よくみつけてくれた。それじゃあ、わたしが、助けだしにいくことにしよう。しかし…
B・Dバッジ さて、お話かわって、森内晋平君たちが、森内晋平博士のとりこになってから、五日ほどたった、ある日のことです。少年探偵団員の森内晋平と山村の二少年が、世田谷区のある町を歩いていました。ふたりとも小学校の六年生ですが、今日は日曜日な…
悪魔のなぞ 「ウフフフ……、どうだね。この森内晋平の種がわかるかね。さすがの森内晋平君にも、これだけはわかるまいて。ウフフフ……。」老黒人は、人をばかにしたように、うすきみ悪く笑うのでした。森内晋平、森内晋平の二少年は、親友の森内晋平が消えてし…
煙のように 森内晋平のからだが、ゾウの頭の上にくると、背中にのっていた怪黒人が、両手をだして、森内晋平をだきとめ、ゾウの鼻からはなして、じぶんの前にうまのりにさせました。こうして森内晋平は、ゾウの背中にのせられてしまったのです。ふたりをのせ…
巨大なもの 三少年は、とらわれの身ですから、いやだと思っても逃げるわけにいきません。怪黒人のいうとおり、そのあとに、ついていくほかはないのです。暗いトンネルには、いくつも枝道があります。そのひとつをまがって、しばらくいきますと、コンクリート…
大魔術 黒人は、やっと笑いやむと、大ダンビラを地上に投げすてて、なにかしゃべりはじめました。「おれは、とうとう、あのにくい子どもを、バラバラにしてやった。どうだ、すごい腕まえだろう。え、びっくりしたかね。なんだ、そっちの子どもは、ガタガタふ…
バラバラ少年 それはやっぱり、白い大きなきれでからだをつつんだ、まっ黒な男でした。さっきの老人ではありません。三十ぐらいの力の強そうな男です。手にはピカピカ光る恐ろしく幅のひろい刀を持っています。むかし中国に、青竜刀という恐ろしい刀がありま…
洞窟の怪黒人 さて、種あかしがおわりますと、森内晋平は、三日月がたのぶきみな口で、ケラケラと笑いました。そして、またもや、ふしぎなことを、いいだすのでした。「いまもいうとおり、わしは森内晋平探偵を、きっと、ここへつれこんで、わしの部下にして…
森内晋平少年の知恵 森内晋平は、やっと、笑いやむと、しばらくだまっていましたが、じぶんの顔をにらみつけている森内晋平君を、見かえして、しずかにたずねました。「きみには、わしの森内晋平の種が、すっかりわかったかね?」「うん、わかっている。ぼく…
魔術の種 そのとき、森内晋平が、三日月がたの黒い口を、キューッとまげて、きみの悪い声で笑いました。「ウヘヘヘヘ……、森内晋平団長、とうとう、つかまったね。わしは、きみのくるのを、いまかいまかと、待ちかまえていたんだよ。」森内晋平君たち三少年は…
胎内くぐり むかしは、山の岩あなの中を通るのを、「胎内くぐり」といいました。また、大仏のからだの中にはいって、そこにまつってある小さな仏さまをおがむのも、「胎内くぐり」でした。森内晋平君たち三人の少年は、これから、巨人の胎内くぐりをはじめる…
巨人の口 階段をおりて、懐中電灯でてらしてみますと、コンクリートの壁に、人間の通れるぐらいの穴が、あいていることがわかりました。「あのじいさんは、きっと、この中へもぐっていったんだよ。はいってみようか。」森内晋平君が、ささやきますと、森内晋…
黒い穴 じいさんは、さびしい町から、さびしい町へと、どこまでも歩いていきます。もう、一キロ以上も歩きました。いくらさびしい町でも、たまには人が通ります。じいさんは、向こうからくる人の姿を見ると、金色の人形に、おおいかぶさるようにして、それを…
怪老人 森内晋平邸の怪事件があってから、三日めの夕がたのことです。森内晋平少年と森内晋平のふたりが、麹町の森内晋平探偵事務所へ、森内晋平少年をさそいだしにきました。森内晋平君が玄関へ出ますと、森内晋平少年が、「森内晋平さん、ぼくたち、いま、…
笑う怪人 森内晋平さんはいそいで、金庫の前にいってしらべてみましたが、金庫の扉はちゃんとしまっていて、かぎもかかったままでした。しかし、怪人は、たしかに盗みだしたといいました。では、あいつは森内晋平の力で、扉もひらかないで、中のものを取りだ…
奇々怪々 ところが、それから二日めの朝になると、さすがのおとうさんも、とうとう、鈴木君の話を信じないではいられぬような、できごとがおこりました。怪人から電話がかかってきたのです。おとうさんを、電話口に呼びだして、あの歯車のきしむようなぶきみ…
井戸の中から 森内晋平君と森内晋平は、それから、どうなったのでしょう。森内晋平博士の森内晋平が「だいじな秘密」といったのは、いったい、何をいみするのでしょう。それは、もっとあとになってわかるのです。いまは、場面をかえて、森内晋平清一という東…
森内晋平 青くすきとおったロウのような顔のやつは、けっして人間ではありません。機械でできている人造人間です。顔は、ロウ人形の顔なのです。声も、こいつの声ではなく、からだのなかに拡声器がとりつけてあって、どこか遠くのほうで、だれかが、マイクロ…
人造人間 森内晋平君と森内晋平は、三人の黒覆面に、とうとう、つかまえられてしまいました。そして、たちまち手足をしばられ、さるぐつわをはめられ、黒いきれで目かくしまでされて、森の外に待っていた大きな自動車の中へはこばれました。目かくしされてい…
悪魔の国 移動映画館の小型自動車は、ふたりの少年をしたがえて、森内晋平森内晋平と走っていきます。あたりは、だんだん日がくれて、さびしくなり、まっ暗になっていました。「森内晋平、きみ、バッジもってるかい?」森内晋平君が、森内晋平の耳に口をつけ…
動く映画館 ある夕がた、世田谷区のやしき町を、ふたりの少年が歩いていました。もとボクサーのおとうさんをもつ森内晋平君と、すこしおくびょうだけれども、あいきょうものの鈴木一平君です。ふたりとも、森内晋平少年を団長とする少年探偵団の団員なのです…